三畳

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの三畳のレビュー・感想・評価

4.0
「AIアバター」という、一人の顔写真を学習して色んな化粧や服の加工を施した画像を複数パターン書き出してくれるアプリの機能があるみたいです。
この映画はもしそれが全部同時に存在して動いてて個別の背景があったら…面白いよね!と言いたいだけの物語に思えました。
(実際、終盤の高速で書き換わる背景と顔なんかはAIが生成したんじゃないの?と思ったけどそのような情報は見当たらなかった)

見ながら私は「自分とは何か」を考えた。今とは別の選択の結果、別の環境で別の仕事をして別の価値観を持っている自分は自分なのか?
自分を自分と定義づけるものは何なのか?遺伝子情報だけ?
同じ父親と母親とが別次元でも結婚して生まれる子供なら自分なのか?
価値観や経済状況が違ってもその相手と結婚すること、子供を産むことは運命で確定してるのか?

この人の可能性の中でも最低とされるパターンがこれならかなり勝ち確だなと思ったり…

自分は選べたかもしれない別の人生があるとはあまり思えない。相当前まで遡って事故的にポイント切り替えが発生してイベントや生活水準によっていい時期悪い時期があったとしても、やっぱり結局はこのぼちぼちな感じに帰着すると思う。(いい意味でも悪い意味でも比較的自分の意志、自己責任で選択ができてきたからだろうと思うと恵まれているな。)

でも自分がもっと頑張って人に向き合えばよりよい関係が築ける可能性がある、少し良い選択を続けた自分と家族は少し良い存在である、と思えるのは希望的であり、それは今いるこの次元で実現できることだ。

「スピリットサークル」にも似てるけどあれは過去生だから「オールアットワンス」ではないのか。「四畳半神話大系」「ミスター・ノーバディ」の方が近いかな?その頃は「マルチバース」とは言わず「パラレルワールド」の方が聞き覚えがあったかもね。

(この日は「マインド・ゲーム」との二本立てで、そのあと「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」にはしごしたので図らずも湯浅政明的な一日になった。)

別の自分の能力を拝借できるのはわかったけど別の自分のストーリーに影響を与える理屈はわからなかったな…
石の会話は良かった。ジャンプのギャグはしらける感じではあった。

ジャンプ台と言われるだけあって序盤はジャンプスケアっぽい演出にちょいちょいびっくりしたけどずっと楽しかった。
三畳

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