akihiko810

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのakihiko810のレビュー・感想・評価

4.5
2022年度アカデミー賞受賞作

経営するコインランドリーの税金問題、父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、盛りだくさんのトラブルを抱えたエヴリン。そんな中、夫に乗り移った“別の宇宙の夫”から、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と世界の命運を託される。まさかと驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバースにジャンプ!カンフーの達人の“別の宇宙のエヴリン”の力を得て、闘いに挑む!

これは…まじで久々にみた「本格ぶっとび大作映画」だ!
SFであり、コメディであり、アクションでありなおかつヒューマンドラマである。これらをごちゃまぜにして、さらにLGBT、親子問題、といった社会派メッセージまでぶち込んで作られた、驚異の大傑作映画である。

まず、映像表現の振り切れ具合が素晴らしい。アクションシーン、マルチバースジャンプのシーンは、映像表現として最高峰の出来だろう。
そして「くだらねー!w」と思わず叫んでしまうような馬鹿馬鹿しすぎるコメディギャグ。こんな大作なのにこんな馬鹿やってるの!?という素晴らしさ。
最後に「現代社会を生きる我々へのメッセージ性」。
娘を認めることができず、いわば毒親であった主人公エブリン。最終的に娘に対する愛を確認するが、そこは、我々の生きる世界は「虚無の世界」ではなく、「可能性に満ち満ちた世界」から自分たちで選び取るものなのだ、というクライマックスを持ってくる。まさにお見事!
いわば、アメリカ最先端映画における「セカイ系」作品なのだ、ということがわかった。

欠点としては、パロディ・元ネタ引用が多く、かつSF部分が複雑で、一度の鑑賞では「なにこれ?」になりがちなこと。数ある考察サイトをみないと、真意はくみ取れないかも、ということだろう。
あと、映像がくどいので、そこは評価割れると思う。

いずれにせよ、「こんな奇跡みたいな作品をよく作れたな~拍手!」と賛辞を送りたい
akihiko810

akihiko810