グラビティボルト

すずめの戸締まりのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.6
「プロが間抜けな失敗をする事でシチュエーションが始まる」という、世にも愚劣でキライなスパイダーマンNWHと似たようなプロットしてて、もう無理だった。
新海誠、俺が一番イヤな「シナリオにケチを着け」ざるおえない代物を毎回敢えて出して来る感じが本当に受け付けない。

スペクタクルで魅せたいのかと思いきや、そんなに心躍るショットもなく(呪術とかでもやってる触手状の地面を走るアクションの出涸らし)、白石ホラーやもののけ姫的な土着信仰を使った語りをしたいのかと思うと彼氏役に呪いを掛ける猫の設定含めて不明瞭でひたすらちぐはぐ。
ドラマ面でも、深津絵里演じる叔母さんも、娘と距離を詰め切れておらず、全てが半端で歯痒い。

終盤、諸々の紆余曲折あって、叔母さんが日記を探索するまではついて来るのにクライマックスに巧く活かせないから
自転車二人乗りをして情が深まったかのように見えた叔母さんを放置して走り出しちゃう俯瞰ショットの冷淡さが、楽しめるタイプのシビアさではなかった。
まるで、こっから先は草太と鈴芽の話だから、叔母さんはお話から切り離してしまったかのような。
あと、草太と抱き合う所を「手摺り越しに見る」位置に叔母さんを配置するのも、こう、酷くないか?

実写と違ってアニメは全部意図を持って描かれるから、尚更なんで叔母さんや神木隆之介演じる友人をあそこまで排除した位置関係にする必要があったのか全くわからず、「この二人以外どうでも良い、お前らは周りで見守ってて」という粗雑さすら感じた。
これにどう追悼だの鎮魂だのを感じろと。ただの凡庸なボーイミーツガールだ。

後、猫の神様周りや「他の閉じ師はどこにいんの?」等のそれなりに大事な疑問に一切応えずに突っ走るのがエンタメだと勘違いしてるようで、全てが未消化なままヒロインが号泣するクライマックスに行くから、「凝ったアニメが展開されても全く琴線に触れない」が120分弱展開される。
やっぱり端から端まで苦手だった。

ただし、恋愛に関しては「草太の顔がキレイだった」「幼少期の思い出の人と髪型が似てた」以上のきっかけがないから、逆に飲み込み易かった・・・かな。
あと、ミミズのデザイン含めて「コワすぎ」的な細部もあったのでそうした類似は面白かったかもしれない。