きらきら武士

すずめの戸締まりのきらきら武士のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.2
一日かけて『デッドデッドデーモンズデデデテデステラクション』のマンガ→映画とハシゴをして、一日の終りにお酒飲みながら「最後に軽めのアニメ観るか」と、TV放映を録画しておいた本作を観た。結論そんなに軽いアニメでもなかったが、誰も死なない、悪人がいない、最後はハッピーエンドというある程度期待通りの優しい世界ではあったので一応満足。宮崎県日南市、油津港とか、行ったことがある思い出の場所ともリンクしたのも善き哉、登場人物の名前が岩戸だったりアメノウズメだったり宗像(大社)だったりとか、楽しめる小ネタもまた善き哉、であった。

ただ。

(以下、Myミミズ暴れます)

扉が引き戸ではなく開き戸なんだなとか、この場合扉は「外開き」「内開き」どっちなんだ?とか、かなりどうでもいいことが気になったりした。こっち側に入ってこようとする敵がいるとか、出てこようとする何かを閉じ込め封じる場合、こっち側に開くいわゆる「内開き」方向の扉を、押して閉じる、が力の効率的な使い方として正しいし、実際映画でもそうしている、けどこれって「扉」じゃなくて「門」だよなー、つまり「扉」は昔はあんな「ど⚫︎でもドア〜🎵」みたいな簡易なものでなくしっかりと「異界の門」だったんだろうな、そして守りたいのは門の内側=現世側ってことであの閉じ方は一見理に適ってる、んだがしかし、現代の日本では扉に鍵をかける場合、家とか建物のドアであって、これらってほとんど「外開き」なんだよなー、そっちに基づくと映画では外側の方から開けられないように鍵をしているように見えるし、これって向こうの内側からは鍵が開けられない前提になってるわけだ。妙なドアだ。そんな感じで「外開き」と「内開き」のイメージが混じり合っててなんかシックリこない設定なんだよなあ、それに「扉」を「内開き」の「門」的なものと考えると小さな鍵を差し込んで内側から施錠するのは変じゃね?大体重たいものを置くか閂だよね、逆に「扉」を「外開き」の「ドア」と考えると外側の世界から内側に干渉侵犯できないように施錠をするわけだから、映画のように出てこようとするものを封じる挙動としてはチグハグだよね。

もう、そんなどうでもいい内と外の考えがグルグルめぐって頭から離れない。病気か。
大体、あの「鍵」ってなんだよ、扉の枠とか施錠の仕組みとかはどうなってるんだよ、「閉じ師」ってなんだよ、あんな災害の大きさならもっとちゃんとした組織体制であれ、際限なくくだらない疑問がミミズのごとく吹き出してくる。ただのイチャモンになりはじめたので、口を閉じることにしよう。
口の戸締まりは大事。

(追記)
読み返して我ながらちょっとふざけすぎていると思ったので最後に本音の部分を書いておくと、基本的にこの作品を3.11の震災とつながりのあるものとして考えたくないという気持ちが底にある。映画終盤の3.11の映像をあけすけに投影したシーンでは心のかさぶたをはがされるようでつらかった。これは日本に似た架空の世界の、それっぽいお話なのだと捉えておきたい。ファンタジーに癒やされることや勇気づけられることは多いが、個人的にこの作品は違った。点数は、単純に娯楽アニメとしての満足度として3.2とした。

#2024 #28
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