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ある夜、彼女は明け方を想うのlarabeeのレビュー・感想・評価

3.3
【こっちはR指定ではないのか?ならあっちもR指定ではないんじゃないの?】

『明け方の若者たち』のアナザーストーリー。『明け方の〜』はモラトリアムが終わり、社会と折り合いをつけながら、でもまだ青春の端っこにいる悶々とした若者の「明け方」を見事に描いていて、私には刺さった。

そんな『明け方〜』のストーリーを彼女側の視点から追いかけたのが本作。

話としては、「こんな風に『明け方〜』の物語に繋がっていったんや」という視点の妙が面白かったし、同じ話を違う目線で切り取るって言う着眼点が面白かった(多分他にもこう言うアプローチの作品はあるだろうし、新しいアプローチでは無いんだろうけど、その例をスッと出せません)。

で、視点や話は面白かったけど、主人公の彼女があまりにも胸糞野郎(女性なので野郎ではないが)過ぎて、ストーリー云々よりそこに腹が立って低スコアに。彼女側から描かれると胸糞度が際立つ。

確かに彼の事を「ちゃんと好きだった」のかも知れないが、自分の立場をわきまえていないっていう無責任さを考えると、普通の不倫の方が潔い(普通の不倫って何や笑)。

彼を好きだった事を何だか「神聖」なモノにしようとしているが、彼女は自分が置かれた環境がちがうかったら彼と付き合ってなかっただろうし。

救いは彼が前を向いて生きて行こうとしているところで、それは本作ではなく『明け方〜』ので方でちゃんと描かれている。

『明け方〜』は悶々とした青春がメインテーマで恋愛はそれを構成するパーツの一つ。本作はその恋愛がメインなのでそこが受付られなければスコアが上がらないのも必然。

珍しく、ストーリーの面白さではなく登場人物に共感出来るかどうかがスコアに影響した。だから『明け方の若者たち』とは大きくスコアの差がついたのも当然でしょう。
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