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何が彼女をそうさせたかのlarabeeのレビュー・感想・評価

何が彼女をそうさせたか(1930年製作の映画)
3.1
【栄養が行き届いてないと俳優でも全員歯並びが悪くなる】

無声映画も新鮮で、雰囲気だけで映画通の気分に浸れる。尺が長すぎると観るのは辛いが、本作は短いので飽きる事も無い。

父親が自殺し、叔父夫婦のもとに身を寄せたすみ子。子だくさんで裕福ではない叔父夫婦からは邪険にされ、追い出されるすみ子。

そのあとは金持ちの家の住み込みやサーカスや施設を転々とたらい回し。

不幸な運命を背負ったすみ子の人生を不憫に思いながら鑑賞。

今の世の中では「これでもか!」っていうくらい不幸が描かれた作品がゴマンとある。そういう作品を観てしまうと本作はちょっと弱いかと思う点はマイナスだが、古い作品なのでそもそも貧しい描写がリアル過ぎるという点は加点。

まだ太平洋戦争も始まっていない日本ってどんな感じだったのか想像もつかない。それを映像で観られるなんて不思議な気持ち。

古い作品なので作品の全てが残っておらず、一部字幕で補っているところは仕方ないとは言え、一番盛り上がるであろうクライマックスシーンがほぼ字幕ではなぁ。

その時代を反映した古典としての価値は認めるものの、じゃあ映画作品としてどうかと言われると先ほど書いたクライマックスシーンの映像がない点も加味してこのスコアになるのでした。
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