「オオカミの家」同時上映のショートムービー
映画館では「オオカミの家」に先立って上映されますが、作られたのはこちらの方が最近。「ミッドサマー」のアリ・アスター監督がオオカミ~を気に入り、エグゼクティブ・プロデューサーとして参加して本作「骨」が作られたようです。
同じストップモーションアニメですが、「オオカミの家」はカラーでこちらはモノクロ。テーマも同じチリ内の問題を扱っているようですが、「オオカミの家」の方はコロニア・ディグニダを扱い、こちらはチリの憲法改正が背景(だと思います)。
本作、雰囲気的には美術館の暗がりで上映されているアート映像のようで、意味を深掘りする意味があるかは?ですが、”入場料払ってるんだから分かった気にはなりたい”という貧乏性の私としては、整理だけはしておきたいのです😑
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まず冒頭、『1901年に制作された世界初のストップモーションアニメ・・』云々の説明がありますが、これはフェイク。ただ、1901年というところには意味はありそうです。
■ 映像の流れ
少女が人骨を使った儀式で2つの人体を再生
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結婚式のような儀式
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蘇らせた人体を再び破壊
■ 蘇らせた人体、および少女
少女が儀式によって蘇らせる2つの人体。共通しているのは、チリの独裁政権の基礎を作った人間ということです。
一つは、ハイメ・ホルヘ・グスマン。1900年代後半のチリ軍事独裁政権下で憲法を作った人(まずこの時点で、1901年に制作されたフィルムというのがおかしいんですが・・)
もう一つは、ディエゴ・ポルタレス。1800年前後の政治家であり事業家。チリが後の右派軍事政権へと流れていく政治思想を作り、主導した人。
そして、少女の名はコンスタンサ・ノルデンフリーツ。ポルタレスの愛人であり、子どもを三人もうけるものの、ポルタレスとの結婚は叶わなかった。
■ 考察
本作の2つのテーマ。
一つは、チリの憲法改正。現在の憲法はピノチェト軍事政権下でグスマンらによって作られた、いわゆる『1980年憲法』。
この映画が作られた2021年当時は、この憲法を改正する機運が高まっていた時期であり、制作側は本作に何らかのメッセージを込めたかったのでは。
もう一つは、少女の夢。愛していた人を骨から儀式で蘇らせ、結婚するも、最後は再び葬り、婚姻届から名前が消えていく演出まである。
過去を抹消したいほどの復讐劇なのか、彼を操っていたのは実は自分だということなのか、はたまた今でも愛しているということなのか、深い意味は不明です。
1837年に暗殺されたポルタレス。行方不明だった遺体はその後2005年メトロポリタン大聖堂改修工事中に骨が発見されて大変話題になったそうですが、おそらくこれが本作の着想になったのではと思います。
、、という感じですが、間違っていたらごめんなさい。
「オオカミの家」もそうですが、こういった作品を通じて学びが得られたことは良かったです。ただ、映画としては、面白くはなかったですね・・・😓
■ 余談
「オオカミの家」のパンフレットを買うと、本作「骨」のポスターが付いてくるのですが、その裏にぎっしりと時代背景などの情報が掲載されています。
配給元のザジフィルムズさんがブログサイトnoteに転載してくれていますので、コメント欄にアドレスを貼っておきます(比較しましたが、内容同じです)
さて、本編「オオカミの家」のレビューについてはまた後日・・・
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2023年 Mark!した映画:272本
うち、4以上を付けたのは30本 → プロフィールに書きました
参考にした情報はコメントに書きました