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テロ、ライブのfujisanのレビュー・感想・評価

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
3.8
久しぶりの、”何これめっちゃ面白い!” 👍

2013年の韓国サスペンス映画で、日本でも公開されたようですが見逃していた映画。現在U-NEXTとアマプラで視聴可能です。

日本での興行成績は不明ですが、韓国では同年大きな話題を呼んだ作品らしく、たしかにスピーディーでテンポも良く、途中でダレることなく一気に観てしまう98分の素晴らしい映画でした。



主人公は、元国民的アナウンサーのユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)。
日本でいうと誰でしょう、若い頃の古舘伊知郎とかミヤネ屋の宮根誠司みたいな感じでしょうか(日本で若い男性のエースアナウンサーって居ないですよね・・)

ユンはTVの報道番組のアンカーとして活躍していたものの、不祥事によってラジオ番組に左遷。それが理由で、局内にいた恋人とも別れてしまっています。

左遷先での新しいラジオ番組。リスナーからの電話を受ける企画で、とある男性からの電話を受けます。しかし、男は政府への不満を延々と語り続けるため、ユンは電話を切ろうとします。

『電話を切るなら、窓から見える橋を爆破する。』 そう息巻く男性に苛ついたユンは『やるならやってみろ』と返しますが、その直後、背後から響く大きな爆発音。背後の窓から見える大きな橋が、本当に爆破されたのでした。

突然の事態に一瞬たじろぐユンでしたが、彼は警察に通報せず、犯人との直接会話を独占放送し、その成果によって再びテレビ報道のアンカーとして返り咲こうとするのでした。

他局を出し抜き、圧倒的な視聴率を叩き出すユンの独占放送番組でしたが、犯人もそれを分かっています。

次第にエスカレートする犯人からの要求。報道スタジオには政府から対テロ対策のエキスパートが駆けつけ緊迫の状況に。そして、気がつけば、橋からの現場中継映像に映っていたのは別れた恋人なのでした。

最初は自分の復帰に利用しようと軽く考えていたユンでしたが、事態は思うように進まず、また、犯人とのやり取りの中で見えてきたのは、国家レベルの大きな闇。

そして、事態はより大きく、意外な方向に展開していくのでした・・というストーリーです。



映画の雰囲気は、公衆電話ブースの中で犯人からの一方的な電話に翻弄される「フォーン・ブース」でしょうか。

比較的低予算の映画ということもあり、スタジオ内というワンシチュエーションが基本となりますが、主演のハ・ジョンウの演技が素晴らしくて眼が離せなくなりますし、爆破シーンの迫力はさすが韓国映画です。

ハ・ジョンウは、この後2016年のパク・チャヌク監督の「お嬢さん」で詐欺師を演じることになりますが、圧倒的演技力は昔からなのですね。

終わり方には賛否ありそうですが、とても印象に残る終わり方で良かったと思います。

本作はキム・ビョンウ監督自身が長年書き溜めていた脚本を33歳の若さで初長編映画として完成させた作品。
おそらく韓国の若者層が持つ不満や、その層から自分の国がどう見えているのかが熱く投影された映画のように思いました。

細かいツッコミどころはあるものの、とにかく、伝わってほしいという熱意を感じる作品で、素晴らしかったです。

込めたいメッセージを低予算の中で工夫して詰め込んだ一作目が成功すると二作目でコケるパターンが多いように思いますが、続編ではないものの二作目も結構面白いらしいので、是非観てみようと思います👍

(4.12 一部表現を修正しました)
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