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TAR/ターのmiiのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
これね 冒頭からもう嫌〜な感じでした。
ボスに対して部下が影でディスってる。
なんだか 小中学校でのネットの陰険ないじめみたい。

でもね 原因はボスにあった。
後にわたしは 彼女の下では働きたくないと思いました。

音大の男子生徒の貧乏ゆすりがね〜
かなりイライラしているのが分かるのです。
完全否定されたらブチ切れるのも分かるよ。

実力があり のし上がってきた成功者であるター。
もはや 権力を笠に着た男性のように描かれています。
娘を虐めた女の子に対しても 子供相手に脅すw
自分の考えを押し付け 何に対しても統制したがる彼女がオーケストラの指揮者である設定もまた 妙を得ており良いですね。
彼女の自信の表れが インタビューの長台詞よ。
(ケイト・ブランシェットはすごいけど)
彼女のインテリな部分とか完璧主義者の部分とかの圧を感じる前半の演出が冗長すぎて
オーケストラの演奏が始まった所くらいで やっとエンジンかかったか!と感じました。

しかしながら ここから不穏な音も流れ始めて
前半のおだまりなさい!的な無音状態から徐々に変化していく音と音楽の使い方は彼女の内面を表現していて
巧いなぁと思ったわ。

後半からガラッと変わり
孤高の指揮者から 生活感のあるアジアに拠点を変えた事で 彼女は気付きを実感する。
滝で楽しそうに笑う男女を見て
彼女は心から笑うなんてなかった事を思ったかも。

彼女が吐いた場面は 屈辱だったんだろうなぁ。
実際彼女がしてきたパワハラに比べればそんな事で?となる所だけど
頂点にまで登りつめた彼女のプライドを考えるとね。
あそこで自身の過ちに気付いたのかな。

反省と受け入れる心を持つ事ができて ラストにはあのような音楽の指揮を取る。
己の壁を下げても尚 彼女の負けん気の強さを感じたわ。
あれくらいでないと成功者にはなれませんものね。

数々の不思議な現象は クリスタの怨念か?
鍵を持っていたフランチェスカの仕業か?
腹心に恨みを持たせるまでの自分の暴挙を知る事ができたターは
転落しても 幸せだったかも。
刺されなかっただけ まし。
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