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灼熱の魂のmiiのレビュー・感想・評価

灼熱の魂(2010年製作の映画)
5.0
1+1=1
この真実を知った時の衝撃度は
数ある映画の中でも随一だと思う。

そして ネタバレを見ずに鑑賞してほしい作品。
そこは触れずに気をつけて書く事にします。

双子姉弟ジャンヌとシモンが 亡き母ナワルからの遺言状を託される。
父親と兄を探すようにと。

まず ナワルの人生が壮絶すぎて 心を打ち砕かれる。
キリスト教とイスラム教の紛争により
銃で容赦なく撃ち殺される様子や
バスの襲撃場面など
牢獄の女性の切り裂かれるような悲鳴声にも
観ていて 心が折れそうになるほど。

そんな世の中を生き抜いてきたナワルは
息子と再会するという希望だけが 彼女を強くさせていたのでしょう。
しかしながら 過去の憎しみから
人生の分岐点を誤ってしまった人物でもあります。

「共ににいることが何より大切」というナワルの言葉が重く心にのしかかります。
共にいたなら···

苦労しながらも真実を突き止めさせた双子の姉弟には
真実から目を逸らさずに 真実を受け止めて
乗り越えていく力を与えたように感じて
母親からの子への願いを感じるわ。

そして 縦3つの入れ墨を持つニハドに対しては
子への無償の愛をとてつもなく感じるの。

民族や宗教の違いで弾圧され 家族が離れ離れになる事はあってはならない。
たとえそのような辛い経験をしたとしても
「赦し」の心を持つ尊さも説いていて
これは 銃殺された亡き夫のキリスト教の教えでもあるのですよね。

子供たちに 憎しみの連鎖を断ち切る願いを込めた手紙を託す。

プールでの水は 母親の胎内の羊水でもあり
ナワルが知った時がプールであったのは
母親である事を思い起こさせる啓示でもあり
その後の彼女が治らなかったのは 人を殺めて道を踏み外した罰であったのかとも思ってしまう。

残酷な描写もあるけれども
それを上回る 子供たちへのナワルの愛や希望 願いを強く感じる。
傑作です。
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