スカポンタンバイク

TAR/ターのスカポンタンバイクのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

最初にしても、最後にしても言及するとネタバレになるので、初ネタバレ表示。

どうなるかと思ったが、面白かった。
最初30秒くらいの映像が流れたと思ったらエンドロールが流れ出したのにはビックリした。流石に「映画が終わった!?」とまでは思わなかったが、「一体何が起こってるんだ?」とは思ったな。
ただ、最後まで観ると「なるほど」となった。最後の解釈次第ではあるが、これは逆再生、つまり最後から最初に向かって観ると、ターが客演指揮者から巨匠になるというサクセスストーリーのように見えるのだ。
本編自体は、エンドロールから始まるため、巨匠から没落していって客演指揮者になってしまうという流れなわけだが、最後彼女は自身のクラシックを志したルーツに戻り、それまでの愛人関係の罪を自覚する事で、客演指揮者にまで落ちてしまったが、ここからまた始まるのだというシーンで終わるため、ここからのターの人生はこの映画の逆再生のようになっていくのだろうと想像させられる。ちょっと違うが、クリストファー・ノーラン監督「メメント」的な仕掛けに近い。
この構造を理解した時、そしてターがモンハンのBGMオーケストラミュージカルの客演指揮者になって終わった時、「おー」とニヤニヤが止まらなかった。これ私の親世代のシネフィルとかは、モンハンやってないから分からんだろ。w
ただ、欲を言えば、本当に逆再生しても成立してるようになってたら面白かったなぁとも思った。まぁ流石に難しいな。

あと何より、ケイト・ブランシェットは凄かったな。女版ダニエル・デイ=ルイスって感じ。もう、画面内でいるだけで圧力が凄かった。演奏シーンはどれも素晴らしく力強かったが、それに匹敵してしまうケイト・ブランシェットの存在感は凄い。正に俳優のための映画で、それに期待以上の形で応えた傑作でしたね。