私を中心に時が動き、音楽が響き、感情が生まれる。
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怪演。いちばんの狂気はこの作品をこれだけの熱量を持って撮りきったケイト・ブランシェット。当て書きでこれだけの演技をしてしまったら、もう俳優キャリアを終えてもいいとすら思うのも納得。でも、もっと観たいんですけどね!!
この作品は、すべてリディア・ター、その人のためにあります。リディア・ターを例にした問いの投げかけです。
まだ男性が主流である指揮者の世界で最高峰の楽団を率い、現代音楽の中心人物とwikiに書かれるくらいの地位を築き、レズビアンで養女とともに生活する。今の世界を象徴するような方ですよ、そりゃ。それだけ権威があれば、「私が時間を動かしている」なんて自信満々に言えますわ。そんな彼女の周りにいる人は、果たして彼女に何を見るのか。リディアとしての魅力?それとも……。
リディアが頻りにする腕時計をつける仕草が好きです。ささいなことで外し、すぐ付け直す。時が止まってしまうことを恐れるように。
賛否あるのはわかりますが、この映画は賛否が分かれて始めて映画として完成するのです。正解はなく、疑問提起に留める。そこから先は観客に委ねられる。とっても映画で好きです!
最高でした。