誰しもが潜在的な恐怖に怯える世界が始まった、その起爆剤となった彼の物語。
だいすきノーラン監督の最新作。待ちに待った日本公開まで無事にいられたことに感謝を。
今回のテーマは『被爆による恐ろしく悲しい被害』ではなく、『原爆によって全世界の人間が恐怖の下生きていかねばならなくなったという事実』の明示だと思ってます。広島長崎への被害は前評判で聞くよりも描かれていたし、むしろ史実よりも配慮されて描かれてもいたのかなと（某シーンのセリフは史実にない、なんてニュースになってましたね）。
この作品は過去を提示することで、我々が生きている現在と生きなければならない未来の、悲惨で痛烈な前提を教えてくれます。もちろん、過去にあったことを許さなければならないというわけではなく。そして、解答を提示しているわけでもない。原爆が投下されるかもしれないという恐怖の下、それでも生きていく。それが当たり前になってしまった世界だという事実だけを教えてくれる作品です。
映画鑑賞後にこんなに怯えながら帰ったのははじめてでした…。
時間軸がぐちゃぐちゃだからこそ際立つラストシーン、さすがとしか言えません。
あと、たぶん時間軸通りだとむしろ視聴しづらかったのかも。
長尺かつテーマも内容も相変わらず取っ付きづらいですが、映画館で観る価値あり。絶対に映画館です、これは。
IMAXで観られる今！ぜひに。
