このレビューはネタバレを含みます
天才指揮者リディア・ターが精神的に追い込まれていく様を描いたサイコスリラー。
監督・脚本のトッド・フィールドは「リトル・チルドレン」以来16年ぶりの作品とのことだったけど、あっためまくった甲斐もある超濃厚なスリラーに仕上がっていた。
序盤は権力者が振りかざす圧みたいなのを描いていて、リディアは名声を得て、全てを手に入れたって感じの人で、
彼女が両性愛者かつ黒人の教え子をめちゃくちゃ詰めるとことか、娘の同級生を脅すところとか、昇進させる気なんかないのに秘書を側においてコキ使ったりとか、胃もたれしそうなシーンばかり。
途中でオーケストラに入るオルガに対しても、リディアが一方的に気に入ったから引き入れたのであって、突然ソロを弾く人をオーディションで決めるとか言い出したりとか、「またそれかぁ」と辟易していたのだけど、
オルガを追って廃墟に足を踏み入れるあたりから風向きが変わって、スリラーが顔を出してくるのが素敵。
それより前から、彼女がハラスメントしてたっぽい元教え子のクリスタの話が出てきて、彼女が動揺したりして、ジワジワと追い詰められる感じはあったのだけど、中盤からはクリスタの訃報を聞いてどんどん追い込まれていく様が描かれる。
最終的にはアジアの国まで逃げてきたリディアが、クラシックのことをあんなにグイグイ語ってたのに、モンハンのコンサートの指揮者にまで落ちたんだなぁってラストだった。
でも、モンハンだったのって何か示唆してるのかな。気になる。
リディアを演じたケイト・ブランシェットは、色んな方が仰るとおり、これでアカデミー賞獲れないんだ•••って思うぐらいの熱演だったと思う。
途中途中で、この人こんな顔だっけ?ってなるの本当にすごい。