ぶみ

モリコーネ 映画が恋した音楽家のぶみのレビュー・感想・評価

4.0
忘れない、マエストロが遺した永遠のメロディ。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督によるイタリア製作のドキュメンタリー。
数多くの映画音楽を担当し、2020年に鬼籍に入ったイタリアの作曲家、エンニオ・モリコーネの生涯を追う。
冒頭、モリコーネの執務室らしき部屋でスタートするが、これがまた情緒たっぷりで、上質な映画のオープニングを見ているかのよう。
以降、基本的にはナレーションや聞き取り手の声が入ることなく、モリコーネ本人が時系列で過去の様子を語るスタイルで進行、要所要所で、彼にまつわる人々のインタビューや、彼が担当した映画のシーンが挿入されるため、特に自分が触れたことのある作品や、耳にしたことのある音楽が流れた時にはテンションが否応がなしに上がってしまうので、二時間半に及ぶ長尺ながら飽きることはない。
個人的には、『遊星からの物体X』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アンタッチャブル』『ニュー・シネマ・パラダイス』あたり、近年の作品では、『鑑定士と顔のない依頼人』『ヘイトフル・エイト』が印象に残っている作品であるし、直接ではないものの、テレビ東京系列のバラエティ『出川哲郎の充電させてもらえませんか?』で、ドット絵によるマップが表示された時等に「テ~レレテレレレテ~レレレ~」と流れる『荒野の用心棒』の口笛が頭から離れない時あり。
映像はもとより、音楽も映画を構成し、観る側の印象を左右する重要な要素であることをあらためて痛感するとともに、古くから数多くの映画を観てきた方は、もっと本作品を楽しめるであろう良作。

当時も、そして今でも新しい。
ぶみ

ぶみ