ゆめちん

オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-のゆめちんのレビュー・感想・評価

3.5
オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体ー

"ミンスミートは消化された"

コリン・ファース目当てで鑑賞。映画のタイトルは作戦名で、ミンスミートとは英国の伝統的な挽肉の保存食のことだそう。その皮肉の効いた作戦名に英国らしいユーモアを感じさせるが、発案したのがあの人物とは…。
 
1943年、ナチス掃滅を進めるためシチリアの攻略を狙う英国諜報部は、ヒトラーを騙そうと "英国軍がギリシャ上陸を計画している" という偽造文書を持った死体を、地中海に流す作戦を極秘に計画する。
 
英国情報部が実行した極秘計画 "ミンスミート作戦" の舞台裏を丁寧に見せていく。作戦を成功させるために緻密に練られる計画、死体のディテール作りから、偽機密文書の作成、文書の紙質、インクの種類、ブリーフケースの傷み具合、そして偽恋人の写真まで仕込む念の入れようで、細部にわたり吟味し、リアリティを追求する。その緊張感溢れるやりとりの中に、ちょこちょこコミカル要素が入り、そのバランスが何とも絶妙。
 
極秘計画と同時に描かれるのが、作戦を主導するモンタギュウ少佐を中心とした人間ドラマ。友情や兄弟愛に加え、ほのかな恋愛物語もあり、従来の戦争秘話を描いた作品とは少し違った雰囲気が味わえる。
 
その主人公がコリン・ファースという巧みなキャスティングで、"1917" 以来の軍服姿をしっかり堪能。同じ英国諜報員でも "キングスマン" とは真逆なキャラで、抑えながら表情で見せる演技はやはり格別。
 
登場人物が多く相関関係が複雑で、途中から整理できなくなったり、終盤の二重、三重スパイの下りは駆け足過ぎて分かりにくかったりと、気になる点もあるが、一味違う戦争秘話を味わえた。
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