ゆめちん

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のゆめちんのレビュー・感想・評価

3.5
エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

時代的な背景が影響したとは言え、何とも理不尽な話。

1858年、イタリア・ボローニャのユダヤ人街。家族と共に暮らしていた7歳の男児エドガルドは、"何者かに洗礼を受けた" という情報により、教皇の命を受けた兵士たちに連れ去られてしまう。

まずこれが実話であることに驚愕するし、観終わってからもしばらくやるせなさが心に残る。信仰という名の元で、ここまで人権が侵害される怖さや、宗教が権力を持つことの危うさを痛感。これらは現代日本にも通じるテーマなのが興味深い。

誘拐されてきたばかりのエルガルドが、キリストの磔刑像の釘を抜くシーンが印象的。エルガルドへの緊急洗礼が、本当に行われたのかがはっきりと描かれていないのが面白い。

幼少期のエルガルドを演じた子役が良かった。親や兄弟と引き離され、改宗を強制され、生きるために否応なく順応していくが、それでもユダヤ教や家族が忘れられない。その複雑な悲しみや葛藤を上手く表現していた。
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