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RHEINGOLD ラインゴールドのゆめちんのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
3.5
RHEINGOLD ラインゴールド
 
"人生で最初の記憶は刑務所だった" 
 
クルド系の音楽一家のもとに生まれたジワは、亡命先のパリで音楽教育を受け、ドイツのボンに移り住むが、両親の離婚後は母と妹とともに貧しい暮らしを強いられていた。
 
実在するドイツのラッパーであるカターの自伝を元に、"女は二度決断する" のファティ・アキン監督が実写化した本作。
 
イラン革命によるクルド人の弾圧が物語の起点となり、ジワの波瀾万丈な人生が描かれるが、あまりにも壮絶過ぎて実話ベースなのが信じられないくらい。ただ、作中ではほんの一部しか描かれないが、母親の方がジワよりもより壮絶な人生を送ったように思える。特に衝撃的な出産シーンが深く印象に残る。
 
冒頭、紛争映画のような始まりから、ストップモーションを使用した記憶の断片を導入し、一気に過去に戻る構成が面白い。そんな冒頭の紛争映画から、クラシック音楽映画、ギャング映画、そして音楽製作映画へと、様々なジャンル変化が楽しめる。

カメラワークや音楽の大胆さは、まるでジワの人生とシンクロするかのよう。父親と再開後、刑務所内で看守の目を盗んでラップを作る場面は興味深く、思わず見入ってしまった。
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