オッペンハイマー
作品賞や監督賞など、アカデミー賞主要7部門を獲得した本作。公開前から楽しみにしていたが、欲を言えばアカデミー賞発表前に観たかった。
ドイツで理論物理学を学び、博士号を取得したオッペンハイマーはアメリカに帰国する。その後、第2次世界大戦中の最中に極秘プロジェクト"マンハッタン計画" に参加し、世界初の原子爆弾の開発に成功する。
第二次世界大戦後の赤狩りの公聴会から過去へのフラッシュバックを繰り返し、ノーラン監督作品らしい時間軸を行き来する構成。
実話映画ではあるものの、作中にサスペンス的な演出が挿入されており、3時間という長尺も全く苦にならない。
日本人ならば様々な意見が出るのは分かるが、１つの作品として観た時に圧倒的な力強さを感じるのも事実。最新技術が開発者の手を離れ政治的に利用されることの恐ろしさを、作品を通じて実感するし、オッペンハイマーの脳裏に浮かぶイメージを視覚化する映像はスクリーンで観る価値あり。
複雑で難しい役所を演じたキリアン・マーフィーと、中盤以降で抜群の存在感を放つロバート・ダウニー・Jr。アカデミー賞に輝いたのも納得の演技で素晴らしかった。
