くましん

ケイコ 目を澄ませてのくましんのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
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モルモット吉田氏が書いてらしたこの映画の評論文では、サイレント映画の手法を用いて作られたのではないかと論述されていたと記憶している。僕にはサイレント映画の教養が全然ないために、この映画からそのようなヴァイブスをあまり感じとることが出来なかった。モンタージュのリズムに依らずに俳優の動き(例えばスパークリングのリズミカルな動き)に基づいて映画のリズムを作っていたところがサイレント映画の手法ということか。
僕にはロベエルブレッソンの、トーキー以降の映画には「沈黙」という「表現」が確立された(大意)という言葉がこの映画の鑑賞中に常に響いていた。映画の表現としての「沈黙」がこの映画の核にあったのではないか。
とにかく、何度も見返したい!

余談であるが、過剰なセリフと過剰な演技で説明的に過ぎるシネコンで流れるタイプの日本映画の主人公のヒロインは全て、この映画のように耳が聴こえない設定にすべきだ。

更に余談であるが、あるシネフィルの方が三浦友和が被っていた帽子がトニースコットの帽子である事を指摘されていて、その事は特に回収されていなかったのも、余韻が残って良かった!橋の下でのシーンのみ、その帽子を被っていたので、それがトニースコットへのオマージュであるのか。
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