くましん

マリア・ブラウンの結婚のくましんのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
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オーソドックスなメロドラマを描きながらも、物語の進行とともに流れているこの映画の音や音楽たちは、この映画の筋とは異質な何かを纏っているとしか思えないほどの違和感とその違和感による快感を鑑賞者である僕に与えてくれていたと思います。
機関銃と思しき音や、そのシークエンスにあまりマッチしているとは思えない柔らかなバンドサウンドや、ラジオのサッカー中継の実況の声たち。このような違和感のある音たちがなぜか画の流れにマッチしていました。
そして違和感は画の中のディテイルにも含まれていたと記憶しています。時折り、そのシーンの画の片隅に、そのシーンには何の関係もない性的な行為に及ぶ男女が嵌め込まれていました。

違和感を随所に挿入することがファスビンダー映画の美学なのでしょうか。
とても豊潤な映画体験でありました。
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