耳が聞こえない女性ボクサーの日々
弟と一緒に暮らし、ホテルの清掃の仕事をし、毎日ボクシングジムに通い、トレーニングに励む
ケイコの手話にはたまに字幕がつく
そのそれ以外は、ケイコの気持ちが
表情や目の中の気持ちしかわからない
試合に勝つ
後輩に仕事を教える
友達とおしゃべりする
打ち合う
ステップを踏む
コンビニでポイントカードを薦められる
そんな普通の日々が続いていく
岸井ゆきのは
身体全体で
ケイコの気持ちをあらわす
背も小さくて
なんだ頼りない女の子に見えてたけど
ちがう
相手を射すくめるような
目が、ケイコの目だった
