しらい弁当

PERFECT DAYSのしらい弁当のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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公衆トイレの掃除を仕事にするヒラヤマ。
毎日、神社の箒の音で目を覚まし、布団をたたみ、歯を磨き、ヒゲを整え、植物に水をやり、左から順にポケットに物をしまい、玄関の前の自動販売機で缶コーヒーを買う。カセットを選び、半分差し込み車を出して、大通りに入ると音楽をかける。トイレを綺麗に丁寧に掃除して、神社の境内で牛乳とサンドイッチで昼ごはん。木漏れ日をフィルムカメラで撮影する。銭湯の一番風呂に入り、酎ハイを飲んで帰宅。本を読んで眠る。
毎日、同じようでいて、少しずつ違う。毎日同じことを繰り返すことで、無駄のない、迷いのない動きになる。それが、とても静謐に感じられる。長年繰り返してきている確かなことしかしていない。
人と関わること、誰かの人生に少しだけ関わること。孤独ではない。孤立でもない。ただ、ひとり存在するだけ。誰とも積極的に関わらないことがPERFECTDAYSなのか。影は重なれば濃くなる。人と人が関われば濃い何かが生まれる。変わらないことなんて、ない。言葉少ない彼がハッキリと口にすること。
Spotifyでサントラを聴きながら、思い返してる。