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ケイコ 目を澄ませてのhuaのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.6
小笠原恵子さんの自伝を原案に、聴覚障害を持つプロボクサーの姿を描いた作品。

いつも明るくてよく喋る賑やかなイメージの岸井ゆきのさんの、動きと表情だけの演技がよかった。

エンドロールで初めて音楽が一切流れていなかったことに気付いた。
唯一、コーチの奥さんがケイコの日記を読んでいるシーンのバックに弟の弾くギターのメロディーが流れていただけ。
挿入歌や主題歌のようなものが一切ない。
街の喧騒や車が走る音、足音や息づかい、ボクシングジムの縄跳びやミット打ちの音。そんないろんな音を聞かせて際立たせることによって、無音の世界を想像させるのかもしれない。

何か驚くような展開や特別なストーリーがあるわけでもなく、ケイコの日常が淡々と流れていく。
ケイコはボクサーなのだが、スポーツ根性ものの映画とも違う。
聾者の友人たちとのランチのシーンは、手話での会話も字幕が入らない。
そこから私たちに様々なことを想像させる映画なのだろう。
目を澄ませて、は私たちにも投げかけられた言葉なのかもしれないと思った。
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