岸井ゆきのの圧倒的な演技力、三浦友和の圧倒的な存在感、静かに心がぎゅっとなる画の連続で、鑑賞中「いい映画だ」と何回も感じ入った。
カメラワーク、カット割り、演出がすごく好み。主人公を余すことなくじっくりと映し、言葉なしの表情だけで情感をしっかり伝えてくる作品の力に強く感動した。
大きくない、有名でもない、そこら中に無数にある些細な日常の孤独、悲哀、喜びを丁寧に大切に扱っているから、作品から太い大樹のような印象を受けた。
鏡の前で会長とシャドーをするシーン。寂しさや悔しさよりも嬉しさが勝って見せる表情。邦画史に残るレベルの素晴らしいシーンだった。