今まで観たアダム・ドライバーの中で、一番良いアダム・ドライバーだった(演技もそうだし、いけていない役ばかりだったこともあり)。
主演2人の演技があまりに素晴らしく、終始、痛々しかった。
人は過去を振り返り、なぜ、と後悔することがある。しかしまた別の日には、この道しかなかったんじゃないかと思える。
本作で描かれた帰結も、誰も望んでいないような展開にみすみす墓穴を掘って落ちていってしまったようにも、引力に逆らえずに何もしようがなかったという風にも捉えられる。
やっとの思いで幸せを手にしたと思っていたら、知らぬ間にそれが埃だらけのベッドの奥の方に追いやられてしまっていて、辛く苦しい時間が2人を覆い尽くす。
しかしどれだけ埃を被っていようと、積み重ねて来た時間ももちろんかけがえのないもので、どうしようもないほど愛しさと憎しみに責め立てられる。
結婚が始まりでも、離婚が終わりでもない。人生はいつでも何度でも、始まっては終わって、そしてまた始まっていくものなのだろう。