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凪の島のdarumaのレビュー・感想・評価

凪の島(2022年製作の映画)
4.0
木野花さんから存在を知り、CSで鑑賞(先月スカパー入って2ヶ月縛り)。放送は全4回のドラマでしたが映画だったんですね…!雷太くんの話で号泣。

これでもかこれでもかと社会問題を詰め込んだ系です。
まず主役の女の子のお父さんがアル中、暴力沙汰で離婚。
お母さんは離島の実家に戻ってきている。
女の子のおばあちゃんがお医者さんで(彼女もシングルマザー)、お母さんは看護師さん。
おばあちゃんもどうやら医療系で何か抱えていそう…

離島のクラスメイトは女の子含めて全部で5人(複式学級)。
この中の一人も家族に問題を抱えている。

離島なので本島(本州)と行き来する舟があるんですが、その舟渡をしている青年(漁師)が吃音。

…とまあ、30分×4回(=2時間)にてんこ盛りの内容で、製作に松竹系が居て、いかにも…!(人情モノ)って感じではあります。
です、が!
結構感動しました。

冒頭にも書いた雷太くん、彼のお母さんが心を病んでいる人なんですが、このエピソードだけ、うまく行きません。
それだけ、重いってことだと思う。
ここが一番響いた。

他の話も、お涙頂戴の為ではなく、わりと真摯に描いていると思う。

脚本・監督は長澤雅彦さん。初めてお名前聞きましたが、沢山撮られている方ですね…!物凄く昔「13階段」を試写で観たような記憶があります。ヘビー系ですよね…結構トラウマになりそうな?(フィルマのレビューを見るとそれほどでもないのかな?って感じですが。。当時はあまり映画を見慣れていなくて、原作未読だったからかも)

制作・配給がスールキートスという会社で、ここは荻上直子監督の作品を手掛けている所なんですね。納得。直近で観たことあるのは「彼らが本気で編むときは、」これ結構いいですよね…

舞台が山口県下松市というところで、瀬戸内海側?です。風光明媚で絵になる。ちょっとご当地モノっぽい部分もあります。ちなみに地元のケーブルテレビ局も制作に入っており、ドラマ版だけかな?各回の最後にロケ地紹介のムービーがついてました。

木野花さんから存在を知った通り、役者さんは彼女と、あと、新津ちせちゃんが主演ということだけを知った状態で観始めました。そうしたら、加藤ローサさんがお母さん役で出てきてビックリ…!私の彼女のイメージは直近で「きれいのくに」なんですが、いい作品に出てますね。
ほかには、島崎遥香ちゃんが出てきて、踊れない先生をやっていた(笑)歌うシーンもあります!何故か!?埼玉出身の役(笑。絶対掛けてる!)教場0で覚えた結木滉星くんが吃音の青年役。個人的にはいい感じでした。
木野花さんと嶋田久作さんのシーンは流石…!といった感じ。貫禄すぎる。木野花さんもわりと出演作に間違いがない系。

いい感じで終わるエピソードが多い中にポツンといかにも現実(そうそう簡単には解決しない)を入れている妙と、あと、祖母と母のシスターフッド感とか(これが後で荻上監督系の会社だなと納得した)、かなり女性視点に立っている感じはありますが、鑑賞後感も良く、結構好きな作品です。

追記)主役の女の子がストレスで時々過呼吸になって海に飛びこむのですが、酸素を吸いすぎるイコール過呼吸だから、息をしなくて済むように海に飛び込んでいるのだと、しばらくして気づいた。それが結構衝撃というか、島の大自然と心の癒しが理論的にもうまく噛み合っていて、絶妙。
あと、物凄く主題歌推しな作品だと思うけど、実際よかった。特に前奏など歌詞の無い部分がヒーリングミュージックみたいで最高だった。
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