ヒノモト

きさらぎ駅のヒノモトのネタバレレビュー・内容・結末

きさらぎ駅(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

匿名掲示板にて投稿された題材を元にしたいわゆる都市伝説ものなんですが、予想を上回るシナリオの良さとゲーム的要素が上手く響き合って、通常のホラー映画のレベルの半歩先くらいの感覚はありました。

どうしても、今作の面白さを語るためにネタバレが必要となりますので、ご注意ください。

物語の前半は、大学生の主人公が卒論の題材とした「きさらぎ駅」の投稿者を取材する中で、当時の再現ドラマパートへ入るのですが、それがFPS(ファーストパーソンシューティングゲーム)と呼ばれる一人称視点のゲームのようなアングルで展開されるのですが、ここが以降の展開に大きく作用することが分かると、面白さが数倍に跳ね上がる感じがありました。

ここから主人公の春奈は、存在しない「きさらぎ駅」=異世界へたどり着くルートを導き出し、自ら実践していくのですが、いざ入り込むと投稿者から聞いたシチュエーションが全く同じように展開されることに気づく訳です。

これって、エンディングが複数あるゲームの2週目プレイの始まりを意味してる訳です。

つまり、投稿者が選ばなかった選択肢=行動をすれば、その後の展開が変わり、違うエンディングへ向かうし、行程で起きるホラー展開も危機回避ができるということで、ここで主人公が無双し始めるところが、前半のゲーム的アクションを受けて、笑える要素に可変していく過程が大変面白かったです。

ただし、後半ではそれが裏切られるのですが、物語はそこで終わらずに、エンドロールの後にミラクルな展開があって、ここがとにかくすごいです。

こういうゲーム的発想は、今に始まったことではないですが、いわゆるリセットして人生をやり直す、理想の展開になるまで何度でも繰り返すループの流れの作品としても、今作はそれまでの作品を踏まえながらも、少しずらした思考になっているのが、シナリオとしての出来にうなるポイントでした。

カットに切れ目がないように見えるFPSシーンの撮影の大変さも含めて、VFXの工夫もあって、これまでの都市伝説ホラーとは一線を画す出来になっていると思いますので、ホラー的表現が好きな方ならおすすめできる作品です。
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