綾

私の親友、アンネ・フランクの綾のレビュー・感想・評価

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アンネのことをはじめて知ったのは、小学生のとき、伝記漫画で。大人になってからアンネの日記をようやく読んで、アンネってこんなにお茶目でおませさんだったのかー!と驚いた。伝記漫画のアンネは、清廉潔白をそのまま少女のかたちにしたような女の子だったから。

今作のアンネが、男の子や性のことに興味津々で、ちょっと意地悪だってしちゃうの、なんだかすごく嬉しかった。私は「本当のアンネ」を知ることが叶わないけれど、私のイメージはこっちのアンネの方に近いし、「本当のアンネ」を知ることが叶わないからこそ、こういうアンネ像ももっとあっていい、あってほしいと思った。

犠牲者だからといって、そのアイコンのような存在になったからといって、いっさい汚れのない天使である必要はない。実際のアンネには汚れがあると言いたいわけではなくて、そんなふうに神格化することで、私たちは「本当のアンネ」からどんどん遠ざかっていってしまうと思うから。

伝記漫画やアンネの日記を読んだとき、せめて、彼女の書いたものが多くの人に知られてよかった、と思ったのだけど、どうやろうか。ふと、それはとても残酷な感想ではないのかと思った。

アンネがもし、私の家族や親友だったら、今の状況をどう感じるんだろう。
綾