綾

ヒトラーのための虐殺会議の綾のレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
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私の母は中国とのクォーターで、私には中国の血が8分の1だけ流れている。

そんなこと普段はすっかり忘れて意識にものぼらないけれど、会議の中盤、どこまでをユダヤ人とするかという議題で、もしこれを現代の日本中国に置き換えたら、私の母は中国人と見なされ強制送還の対象となるのか…… と戦慄した。こんなにも純日本人(それが良いとか悪いとかではもちろんなく)なのに……?

そうして初めて、私はドイツ人なのにポーランド人なのにとショックを受けた人々の気持ちが、ようやくリアルな肌感として想像できた。これまでたくさんの本や物語を通して知っていたはずのこと。感情移入してきたつもりのこと。きっと私には、その衝撃がなんにもわかっていなかった(もちろん今も本当にはわからない)

観ているとき、なぜかロードオブザリングやハリーポッターの悪役たちが浮かんできて。かれらは悪役然としてるだけまだマシだったのかもしれない、とふしぎな恋しさを感じた。己の悪意を自覚し、虐殺を虐殺としていただけ、どれほどマシだっただろう。

そして、でも…… と思う。ナチスドイツといえば戦争の加害者の代名詞だけど、私の住むこの国だって。やっぱり人間というのは「悪者」になるのをとことん嫌う生き物なのかもしれない。改めて、日本という国が過去にどんな過ちを犯したのか、もっと知りたいし学びたいとも思った。
綾