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遺灰は語るのkurageのネタバレレビュー・内容・結末

遺灰は語る(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ノーベル文学賞を受賞した劇作家ピランデッロの遺灰を故郷に持っていく話。
起きていることだけを受け取れば「だから何」とも言ってしまえるような内容でもある。
こちらの教養を試しにかかってきているようでもあり、何も受け取れなかったら煙に巻かれたような気持ちにもなるが、モノクロのスクリーンに実際の映像をつぎはぎしながら描いていること、訴えていることは力強く、ヨーロッパの地政学をちょっぴりかじった人には響くものがあるだろう。

鑑賞後、振り返ると面白かった、とつい口をついて出てきてしまった。遺灰の目線から見ると、遺灰になってしまえば、いかようにも扱われるし、勝手に関わる人たちがドラマをつくる。滑稽でもあり、ラストシーンはこみ上げてくるものがあった。

突如カラーで始まる短編『釘』は、腑に落ちないものがある。あの少年はなぜ少女を殺したのか、殺した少女の墓参りをすることを心の縁としたところも、わかるような感情のようでよくわからない。

こういう作品を観ると、映画は監督のものなんだなあと思ってしまう。
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