インテリア映画としてはやっぱり最高なジャン=ピエール・ジュネでした。
AIによるインフラ整備が行き届き、人間たちがのんべんだらりと暮らしているハイテクな世界(家)を舞台に、家電ロボットが家人を人質にとり、家の中に立てこもる、、、というシチュエーションブラックSFコメディ。
何度も映り込むSMEGの角丸ミントグリーンの冷蔵庫が物語るように、コンピュータ制御されたシステマチックな部分と、キャンディのような甘さと丸みのあるインテリアがうまく混合していた。
アインシュタインのタコ型ロボットが出てくるのだけど、メタル素材とともに木材を使っていたり。
全て電子書籍でいいはずなのに、立派な本棚には革張りの本が堂々と健在していたりとか。
人間の肌も、タトゥーを自動で簡単にデザイン変更できたりする一方、髪型やメイクは50s60sっぽくてどこか懐かしい。
車も空中に浮いているシトロエンだけど昭和初期に流行したビートル型だったりと、
レトロフューチャーな世界観の徹底度合いが素晴らしかった。
「今年はCovid-50なんてのが流行るらしいよ」というジョークがエイプリルフールに笑い飛ばせる時代が早く来るといい。
空飛ぶ車もまだ無いけれど、ブギウギなマインドも持つことが出来ない今の時代から、新型のウイルスを片手に遠くの過去と未来を眺めて突っ立っている自分が滑稽に思えて仕方がない、そんな映画でした。