グザヴィエ・ドランが監督業を引退したことを知って今作を改めて観ると、彼の悲鳴そのものだった。
2023年で一番の悲しいニュースではあった。グザヴィエ・ドランの映画をこの先、一生、追い続けていけるものだと思っていた。
映画を愛し、映画に愛された人だから。
でも引退発表の文言には「製作費が足りなくて親に借金しなければならなかった」とあった。
これも監督業の仕事の一部なのだろうけど、お金の工面ごときで彼という才能が絶たれてしまったことが悔しい。
もし映画ファンの富豪が「もう一度考え直して欲しい」とお金を積んで懇願しても、彼は「引退という決断をしたことに喜びしかない」と話していて決断は堅いと思う。
ジョンFドノヴァンもそうだけど、富と名声と孤独のバランスが崩れてしまうと続かないみたいだ。一般人にはわからない苦しみ。
でも死なないで、引退の道を速やかに選んでくれてよかった。生きていればどうにでもなる。
引退発表をする少し前のInstagram、のどかな景色のなかでリラックスしてる彼がいた。ご苦労様でした、ありがとう、としか。
(私が長らくアイコンに使用している画像は、ドラン宅のホームシアターであろう場所のレッドカーペットに寝そべる愛犬)