生きる
序盤「こっちは簡単なんですね」の言葉がどうしたってずっと頭に残っている。
いわゆる1人で生きていかなきゃいけない年齢になれば、お金を稼いで家を借りてご飯を作ってお風呂に入って寝て、また明日がやってくる。そんな毎日をどんなことがあったってやらなきゃいけない。助けを求めるにはやれ書類だ、保証人だ、許可を貰わなきゃいけない。たすけて！一言じゃ助けてくれないのが現状なんだろうな。苦しくなる。
「必要書類は特になし、保証もいらない、お金だってもらえるよ！好きなことに使ってね！」国のことを思って未来の若者たちのことを思って死という選択をする人にそんな簡単で良いのかと疑った。まるで医療保険のCMと同じじゃないか。がん検診だってそうだ、生きようと検診に来た人に「未来のための選択」だなんてそんなの死んでくれって言ってるようなもん。
使うもの一つ一つにお礼を言って、凛とした佇まいで、お茶目なところもあって、歳関係なく感謝の気持ちを伝えることができる素敵な女性。なのに、誰がどう見ても困窮に陥ってしまう状況に泣きそうになった。私がその場にいても何もしてあげられない気持ちになったとき、河合優実さんの鋭い眼差しが凄まじかった。今作も安定してつよすぎる。
是か非か。答えは決めることが出来ないし、選択肢は個人にあるんだろう。もしかしたら私たちがもっと歳を取るとこのような対策が始まってるのかもしれないし、もっと酷いことになってるのかも。「もう少し頑張りたいんです」そんな言葉がずっと頭に残る。
生きるって、生きていくって、一番大変だ。
