arimasou16

PLAN 75のarimasou16のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.0
先に監督のインタビューを読んで、フィリピンはキリスト教徒が多くて家族間の結びつきが強くて云々と言っていて、まさか高齢化問題を家族愛で解決なんて言ってないよね?みたいな気持ちで見たことは断ってきます。

あと、プロフィールにも書いてますが、映画としての評価でなく、ただの感想です。

中々衝撃的な冒頭でありつつも、全体的に抑えられた演出と演技で、過剰に日本のディストピア化を煽る訳でもなく、磯村勇斗、河合優実といった政府側?の人間たちも、ただ一生懸命働いてる、という、対比なども素晴らしいとは思います。

自身の正義に酔った作品ではなく、自己満足的でないのは好感持てます。そして、高齢者のイメージを悪くしてるのは、間違いなく政治家の老人どもだと思いますし、貧しい老人もいるのは分かります。

ただ、監督は、日本は冷たい国だから、こんな社会になりますよって言いたいんでしょうけど、この映画みたいになることは、まずないでしょうね。たかまつななのシルバー民主主義発言のように、政治家、有権者も老人が多数なのに、こんな政策を通すわけがないですから。

学校も、勉強ができる人よりはできない人に合わせるし、公共制度もIT化や効率化を進めるどころか、旧態依然のままです。私には、日本は、若者より老人に優しい国だと思います。

高齢の両親と住んでいて、去年、妻のお父さんが亡くなり、そして妻の母親は、一人暮らしになってしまったという状況下にある私が、冷たい本性丸出しで、あけすけに語ると、だったらどうしろって言うのかな?って思いました。

劇中でも、呼ばれたことに気付かず、車椅子ないと歩くのもままならない老人が出ますが、高齢化社会は、まさにコストのかかる(という言い方?!)人が多数派になるんですよ。

マジョリティがマイノリティに配慮しましょうじゃないんですよね。逆なんですよ、働いてない、力がない、老人ということで、弱者にカテゴライズされますけど、マジョリティなんですよ。

高齢化社会、ヤバイと思いますよ。この映画も、年寄りの注目集めてて、若者より高齢者が多かったです。そして、中には映画のF-7(仮)といった英語と数字の座席の見方も分からず、迷子になってる方までいました。

倍賞千恵子みたいに、お寿司の皿を拭き取ったり、歩けて、喋れて、働けてる人、こんな迷惑かけずに生きたい(死にたい?)って人たちは、確かに働けるようにしたらいいと思います。というか、私の中では働ける人たちはもはや老人ではないです。

しかし、もうおんぶにだっこな老人の方とかどうしたらいいんでしょうね?どうして、高齢者の免許返納が話題なるのでしょうか?

私の母親なんかは、引っ越してきたこともあり、ごみの分別もよく分からず、ゴミ袋の有料化も知らず、ただ何となく捨てれば良いと思っている。ただ、毎日、寝ているのか目が覚めているのか曖昧なままテレビを付けっぱなしで、用を足して、そして寝ている。出かけることも殆ど無い。

そして、驚くほどに日々文句しか言わず、何かお願いしても忘れるのか、覚える気もないのか、やってくれない。裏でどれだけのことを肩代わりしてやってもらってるかすら分からない。そして、過去の経験でしか考えれないから、世の中が変わっていくことも気付かないままです。

こういった日々を毎日、何ヶ月、数年と送ってると、残酷な冷たい人間なんので、何なんだコイツは、って思ってきます。

後期高齢者医療費引き上げ、老後4000万円問題、などあれこれ批判されますが、働かない人たちが多数になろうとしてる社会にあっては、止む得ない部分もあるのではないかと。

コロナ禍でとある病院が一気に過疎化して経営不振になったと聞いて、病院のカフェ化ってのは本当なんだな、と思いましたね。どれだけの人が、病院行くことより、区や市が推進する健康プログラムに参加してるんでしょうか?

今の若者ってほんとに優秀で、サイクルが速く複雑化した社会を努力して生きています。だから、安易に弱者を助けようって叫ばれることより、構造改革や努力が報われる社会を望んでいます。
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