78歳という歳で ミチ(倍賞千恵子)が働かなければならない現実を見せてから
その後職を解雇され 友人が突然亡くなり
孤独へと追い詰められていく彼女。
そして 満75歳から生死の選択権を与える制度「PLAN75 」を選ぶ。
尊厳死を扱った作品を観た事はあるけれど
それは 家族に見守られての温かい死だった。
これは たった1人で そうせざるを得なかった孤独死。
死に行く道すがらで 嗚咽する老人···
観ているのがとても辛かった。
仕事の為に 淡々と業務をこなしていた若者たちも
直面して やっと気づいてくる命の尊さ。
これは「死」を扱っているから 非常にセンシティブ。
歳が近い人や 精神的に弱くなっている人は
引っ張られるかもしれない。
誰しもが自分の将来を考えると思う。
超高齢化の不安もそうだが
わたしは子どもたちの世代にどう負担がかかるのか？が気が気でない。
働けば働くほど搾取される制度も少子化に拍車がかかり 労働力の低下となる。
次の選挙に勝つためだけの政策を推し進めるのは如何なものか？
日本は世界で最も高齢化の進んだ国であるという事に着眼点を置いたテーマは興味深く 衝撃的だった。
2030年には日本人口の1/3が高齢者になると言われている現実問題をぐさりと突きつけ
未来について考える機会を与えてくれる作品。
「護られなかった者たちへ」の倍賞千恵子さんの役柄と通ずるものがある本作。
痩せ細った彼女の指だけを見ても
まざまざと老いという現実を見せつけられた。
夕陽を眺めながら歌う倍賞千恵子さんが訴える背中を見て
よく体現してくださったと ぐっとくるものがありました。
