なお王

PLAN 75のなお王のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
2.9
最近、おでんメガネおじさんが「集団自決」という物騒なことを言い出して話題になった。そのおでんメガネおじさんが子供から「高齢者が自動的にいなくなるシステムはどうやって作ればいいか」と質問されていた。というニュースを見て絶望的になったので、この映画の感想を書きたいと思う。

少子高齢化問題について少子化の方ではなく、高齢化の方に解を見つけた社会の映画。

是非を描いているわけではなく、淡々とそんな社会を描いているのだけれどやっぱりもやっとする。


75歳以上の人間に生死の選択権を与えられる。
自分だったらどうだろうか?
家族だったらどうだろうが?
知人だったらどうだろうか?

そういうふうに考えてはいけないのだと気づく。

少子化に関連する幾つもの課題を解決しない限り、人口減少による経済的国民負担が増加する。労働力も不足していくばかりだ。そういう問題はAIと移民が解決してくれるのだろうか?

口減しのために子供を売ったり、姥捨山に置いてきたりしないですむように私たちの社会は努力してきたのではなかったか?憲法ができて生存権が保障され、何人も公共の福祉を受ける権利を享受できるのではなかったか?

この映画のモヤっとする原因は政府の決めたことに逆らえない人々の個々の感情を描いているからなのかと思う。磯村優斗や河合優実が抱く苦悩や悲しみは生きるために仕方のないことなのだろうか?人に「あなたには死ぬ権利があります。75歳以上だから」と線引きする権利を政府に与えてはいけない。
私たちはもっと怒らなければいけない。
「仕方ないよね」で済ませてしまうと社会システムに苦悩し、悲しむ未来が待っているのだ。
なお王

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