はなこたちゃん

PLAN 75のはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.0
普段は
花を愛でる事などない人でも
春に咲く桜には
その刹那の美しさに
心が躍り華やぐ
何故なら
私達は心を持った人間だから

気がつけば
コンビニも
スーパーも
駅も
映画館も
対人ではなく
自動精算機に自動改札

企業にとっては
人件費が削減出来るし
何より効率的です


『プラン75』と聞くと
何か画期的で合理的な
サービスの様に感じるけれど
命の終わりを
殺風景で無機質な場所に横たわり
行政の味気ない指示に従い
その時を待つ
その亡骸は
見知らぬ他人が
あたかも粗大ゴミでも
処理するかの様に
流れ作業によって
『処分』されていく
そこにはもはや
敬意も尊厳もありはしない

ミチが夕陽に照らされた
自身の手を見つめるとき
深く刻まれた皺や滲みは
ミチがこれまで生きて来た
証であるし
何より脈打つ血流は
今まさに生きている証

私は
何かの事情で
生きていることが
この上なく苦痛で
本人が安楽死を望み
その家族が本人にとっても
家族にとってもベストだと
受け入れられるならば
安楽死を認めても
良いのではないかと
思っていますが
ある年齢に達したから
生産性がないから
という理由で
国や行政から
『死ぬことを』勧奨されるなんて…
フィクションだとはいえ
それはちょっと…

失職しついにPLAN75の
申請をしたミチが
1日たった15分の
オペレーターとの会話に
皮肉にも
生き生きとした表情を見せる姿や
『10万円貰っても使い道が無い』
などと言うセリフが
切なくて悲し過ぎる😭