岩嵜修平

暴力をめぐる対話の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

暴力をめぐる対話(2020年製作の映画)
3.7
2018年からフランスで続く政権への抗議運動「イエローベスト運動」に対する政権の威を借る警察組織による暴力についての多面的な対話。対話する人々の素性はエンドロールまで明かされず、観客は運動側、政権側、警察側、識者、一般人、それぞれの意見に思考を揺さぶられ続ける。

エンドロール後の日本での上映用の監督メッセージでも語られていた通り、イエローベスト運動に限らず、世界での普遍的な「暴力の正当性」についての対話として成り立っている。(香港でのアレコレや札幌での警察によるヤジ排除が頭を過った)エグい人体損壊や暴力が現実の映像で見せられるので要注意。

イエローベスト運動は非暴力な運動として始まったと思うし、警察も当初は暴力に及ぼうと思っていなかったのではないか。しかし、運動が拡大する中で、小競り合いが起き、互いに、報復を繰り返す中で収拾がつかなくなったような。政権が、警察が、悪いのは間違いないが、運動側だけに肩入れは出来ない。
岩嵜修平

岩嵜修平