竜平

ブルービートルの竜平のレビュー・感想・評価

ブルービートル(2023年製作の映画)
3.7
「DC・エクステンデッド・ユニバース」第14弾。大学を卒業し故郷へと帰ってくるメキシコ人の青年「ハイメ・レイエス」が、遥か昔に宇宙より飛来したという奇妙な「スカラベ」とひょんなことから接触、やがて巨大な軍需企業の関わる争いに足を踏み入れることに、という話。

日本での劇場公開がなく非常に残念に思っていたところでまさかのU-NEXTでの配信開始を受け全俺が歓喜、ということでワクワクしつつ鑑賞。出演陣は恐らくメキシコやブラジルなどの出身である新進気鋭なキャストたち、でその中にポツンと出演してるベテランのスーザン・サランドンよ。軍需企業コード社が手に入れ何やら利用しようと企んでいる謎のスカラベが発端となり誕生する今回のヒーロー。すげー端的に言うと「アイアンマン+スパイダーマン」的なビジュアル、それの青色バージョン。で見た目はアーマースーツだけども全て自らの意思で動かしてるというわけでなく、寄生され他の存在と体や脳が一体化しているという、共生という「ヴェノム」のような特性。更に「ハルク」や「モービウス」のように死ぬまでその体質を余儀なくされてしまう、一種の呪いとも言える。てか全部マーベルで例えてしまってごめんってな感じで。そんなわけで様々なヒーローのおもしろい部分を詰め合わせたような、良くもわるくもごった煮状態。飛行、ブラスター的な飛び道具、かっちょいい刀、その他トリッキーな機能など戦闘のバリエーションの多さは完全に見どころ。ここらへんは映画館の大画面だったらもっと楽しめてたところかも。変身の度に服が燃えて全裸になってしまうのが笑える。

そんなこんなで内容としては非常にわかりやすいオリジンストーリーという感じ。楽しくないことはないんだけど前述のように設定の説明がわりと詰め詰めで、それ故か人間ドラマやラブストーリーの部分がちょい薄味になってしまってるのが残念ではある。深みがあまりない、というか。これはコメディパートとシリアスパートのバランスのわるさによるものもあるかも。そんでファミリードラマの様相が強すぎるのかな、家族の活躍シーンの多さだったり、あとアクションのテンポなのか爽快感なのか、痒いとこに絶妙に手が届かない、みたいな。「ブルービートル」自身の活躍をもっともっと堪能したかったし、DCEU特有のハチャメチャ感も控えめで、期待してただけにちょい肩すかしをくらったというところ。無駄に好戦的な主人公のばあちゃん、これは好き。


すでに刷新が決まっているこのDCEU。今作は一応DCEUの期間内に製作・本国で公開されてるにも関わらずじつは次の通称「DC・ユニバース(DCU)」に属してるとの噂もあって、これは本当どーゆーことになるんだろうって感じ。今作の内容に関してはまぁヒーローの名前がたまに出てくるぐらいでこれまでの作品との繋がりはほぼなく、単体で見れるだけにどっちにも転がすことができるわけだけど、いやしかしこのブルービートルや、もっと言えば「シャザム」や「スーサイド・スクワッド」の面々も含め、ヘンリー・カヴィル演じる「スーパーマン」やベン・アフレック演じる「バットマン」などなどジャスティス・リーグと共演共闘する様がやっぱり見たかったなーーなんて今でも思ってしまう。心残りはさすがにある。さて泣いても笑ってもDCEUは残り1本、次回作が正真正銘のラスト、『アクアマン/失われた王国』。
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