yumeayu

ドント・ウォーリー・ダーリンのyumeayuのレビュー・感想・評価

3.5
"ビクトリー計画"

話題となった『ブックスマート』に続くオリビア・ワイルド監督の長編第2作。
前作は女の子同士の青春コメディだったが、今作は全くジャンルの異なるSFサイコスリラー。

砂漠のど真ん中に建設された街で、不自由なく暮らすアリスと夫のジャック。
毎朝夫を見送り、アリスは家事をこなし、近所の奥様方とお茶を楽しむ日々。それは完璧な生活だったが、ある日隣人が謎の男たちに連れ去られるところを目撃する。それ以来、アリスの周りで不可解な出来事が起こり始める。
アリスはこの街の存在に疑問を持ち始め、やがて情緒不安定となっていく…。

物語の舞台となる街は、古き良きアメリカを思わせる50年代テイスト。車や家具などレトロな雰囲気が素敵ではあるが、この時代設定も物語を読み解く上でのポイントとなる。

毎朝夫にキスをして見送り、その間妻は家事をし、子守りをし、夕食を作って夫の帰宅を待つ。それで保証される自由で豊かな暮らし。

ちょっと待って!
それが幸せ??
それは男が思う幸せだろ!
(2人が良ければ問題なしなんですけどね)

そんな考え方は、今や過去の産物である。
いまや男女の役割など無いに等しく、古臭い男性の威厳やプライドは何の意味も持たない。
今作はそんな世の中に納得がいかない男性の情けない物語であり、男性のマッチョイズムからの脱却を描いた女性の物語だといえる。

『ミッドサマー』に続き、またもや何だか訳わからんところに連れてこられたフローレンス・ピューの演技がお見事。
頭が混乱してサランラップを顔にグルグルと巻き出すという怪奇行動には笑ったが、彼女の孤軍奮闘ぶりには拍手を送りたい。

終盤はだいぶSFよりな展開となるが、この辺りはツッコミどころや疑問は残るところ。
これはメタバースの未来とかなのかな??

これから面白くなりそうと思った矢先に、割とあっさり終わっちゃったのは残念。
yumeayu

yumeayu