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デューン 砂の惑星PART2のyumeayuのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5
"リサーン・アル=ガイブ"

前作パート1同様に圧倒的な映像美に惚れ惚れさせられる。スクリーンいっぱいに広がる惑星アラキスの広大な砂漠風景は、映画ならではの映像体験だといえる。

本作は、前作ラストでハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされた主人公ポールが砂漠に逃れ、砂漠の民フレメンと合流したところから始まる。
この砂漠の民フレメンのキャラクターデザインが個人的にかなり好み。前作でのアトレイデス家の格式高い衣装と打って変わり、ミリタリー色の強いタクティカルな衣装となっている。フレメンはゲリラ戦を得意とし、数で勝るハルコンネン兵士を地の利を活かして圧倒する姿はめちゃくちゃカッコよかった!

カッコいいといえば、印象的だったのはハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサ。
黒い花火が打ち上げられるモノクロの登場シーンから始まり、あの非情で残虐な性格と佇まい(だけど色仕掛けに弱いのもいい!)。
そして何より"フェイド=ラウサ"という声に出して言いたくなる名前!
もう自分の厨二心が揺さぶられて仕方がない(笑)。演じたオースティン・バトラーも素晴らしかった

また、肝心な物語の方はというと、前作に比べて大きく動きがあり、かなりテンポよく進む。
国を追われたポールと母親ジェシカがフレメンと合流するところから始まり、ポールはフレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として認められ、民を率いていくことになる。
母親ジェシカは教母となり、フレメンの信仰心を煽り、それを利用しようと画策する。
一方、宿敵ハルコンネン家はフェイド=ラウサをアラキスの新たな支配者として送り込む。

本作でポールやフェイド=ラウサら男達は地位や名誉のため戦場の最前線で戦うのだが、すべては女性秘密結社ベネ・ゲセリットの手のひらで踊らされている感じを受けた。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品には必ずといっていいほど強い女性や母親が登場する。本作でも強くたくましい女性キャラクターが多く登場するのは、監督の作家性が色濃く反映されているからなのだろうか。

尺の問題からなのか、編集がやや唐突な部分がいくつかあったのは気になったところだが、映像・音楽・デザインに関してはどこを切り取っても素晴らしい出来で、全体的にはかなり満足度の高い作品であった。
主演のティモシー・シャラメら前作からの続投組に加えて、パート2で出演したキャストも含め、今をときめくスター映画としても豪華絢爛。

次の3作目次第では、本シリーズは今後語り継がれるSF映画の金字塔的作品になりうると思う。
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