けい

ドント・ウォーリー・ダーリンのけいのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

『サンダーボルツ*』(2025)の予習(!?)としてフローレンス・ピュー出演作を鑑賞。幸せそうな夫婦たちが暮らす理想郷、その正体は…。

とにかく親近感のあるフローレンス・ピューが演じる妻に釘付けで、どこか現実っぽさを感じさせない不安を煽る過剰なBGMによる演出と先の読めない展開からタネ明かしされる “ あの世界 ” の秘密はなかなか刺激的だった。同じような家に住み同じような家生活を送るコミュニティはまるで宗教のようで恐ろしさも感じた。中身のないカラの卵、水着を来てない美女の後ろ姿、何処か古い道具、浴槽の風呂の中のこちらを見つめたままのもう一人の自分。それらの小さな違和感たちはきっと現実世界の彼女自身からの警告による “ あの世界のバグ ” だったと思われる。ラップを顔に巻いて無意識のうちに自殺しようとする行動が自分の人生を生きたいと “ あの世界 ” から脱出しようとする彼女の無意識の行動だったと思うと悲しくなる。妻に見送られレトロな車でカッコ良く仕事に出かけている男たちが実は “ あの世界 ” からログアウトして現実で仕事をしているなんて思わなかった。終わらない幸せは幸せなのか、終わりがあるから幸せを感じられるのかもしれない、そんな問いかけをされているような2時間だった。
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