新木

僕らの世界が交わるまでの新木のネタバレレビュー・内容・結末

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ジュリアン・ムーアと「ストレンジャーシングス」のあの子の親子の話ですが、邦題がクソいけてないですね。「僕」の選択について、表現として男性以外を指す場合も使われるは使われますが、邦題担当が浜崎あゆみファンだったのか知りませんが、自動的に息子観点に誘導するかたりになってしまいミスリード。「交わる」という言葉もなんとなく違う気が。交わる必要などなくというか、交わることはできない人はたくさんいるのはもはや自明のことでありつつ、そういう人たちの考えにどれくらい理解や尊重を示せるかなのだと思いました(ここで書くことではないですね)

この息子、自身のフォロワー2万人に対して自作の歌をライブ配信しており、ときどきもらう投げ銭を「経済的な自立」(もしくはその一歩)として捉えているのか、「成功者/インフルエンサーの仲間入りへのチケット」だと思っているのか。
お金を得ることのみが正義とでもいうような価値観が人類史上最高といっても過言ではないくらい加熱する時代に、さらに人からの承認にもっとも飢えている思春期の只中にいるいまの学生って、ほんと大変だと思います。流行に乗りながらあの手この手で自分のプレゼンスを表明していくことに必死で、動きながら考えないと”成功”からドロップアウトしてしまうような感覚はどのくらいあるのでしょう。その状況では小説を読んだり自分の好きなことを探すことは最低の優先度にいくのでしょう。
正直彼の歌う音楽は30代半ばを過ぎた自分にはまったく刺さりません。もっとクオリティーの高いコンテンツがたくさん溢れるなかで彼の配信に時間を割くにいたる魅力がどこにあるのか。
また、彼の学校生活での交友範囲は非常に狭く人気者とはいえなさそうで。政治的なことに関心がある同級生に恋心を抱くも、いまの自分のインプットでは彼女の身の丈に到底及ばないことを感じつつ自分の凄さもアピールしたいのはわかるが、それより他のクラスメイトからどのような扱いを受けているのか描いてほしかった。気になるあの子以外にも絶対に影響されるお年頃なので。

この息子の母親は、事情のある家庭のシェルター的な役割をする団体(会社?)でたぶんトップのポジションに就いているのだが、そのこの母親にとっては都合の良い押し付けがましい愛がとても胃もたれ。さらに新しく入居してきた親子の息子に(若干反抗期な息子との比較してからか)大層な好感を持ち、自分の価値観を相手にとっても正しいものだと信じ込んで、必要以上に世話を焼いてしまう始末。

この息子と母親はそれぞれ好意を持つ相手からある種の拒絶をされたことで、息子は母親に、母親は息子に、向き合い始めたといった感じなのでしょうが、(若干眠かったことも含め)特筆すべきことも見当たらないジュリアン・ムーアを無駄遣いした凡作でした。

A24配給の看板も以前の勢いはなく、かかる作品が増えている一方、年に1〜2本おもろい作品が出てくれば良いといったところか。
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