天才・鬼才と言われる、『死刑台のエレベーター』を撮ったルイ・マル監督に経歴が似ていると(勝手に)思っている、ダーレン・アロノフスキー監督による『鬼火』にあたる作品。
孤独な主人公が、亡くなるまでの一日もしくは短い時間を静かに描いた映画という意味で。
アレハンドロ・イニャリトウ監督の『バルド』にも似ていた(こちらも天才的な作家だと思う)。
一場劇、たった一つの場所だけで展開する、もちろん演劇的な作品で、それでも長編映画として成り立っているのは、アロノフスキー監督の才能ゆえだ。
主人公の特殊メイクがすごいのではなく、演技がすごい。あの悲しみと、亡くなったパートナーへの愛と、家族への愛情というまさに複雑な感情を見せる演技と演出こそ褒めるべきだ。