サンドラ・ヒュラーは、不思議なコメディー『ありがとうトニ・エルドマン』でのイメージがあったので、今作のシリアスな演技に驚いた。幅が広い、すごい女優だ。
裁判劇でもありサスペンスでもある内容だが、クリエイター同士の夫婦という問題も抱えていて、深みがある。
また、視覚障害のある息子、裁判での最後の表情がなんとも巧い。
そして、犬。瞳が小さいので愛くるしい目ではないのだが、演技派だった。
裁判により、さらされていく事実も辛いものが多く、勝敗が全てではないところもヨーロッパ映画らしくてよかった。残された者が、これからも抱えていかなければならない現実をふまえ、単純なラストにしていないところだ。
場面が自宅と裁判所が舞台と限られているし、裁判シーンが長いのだが、見ごたえのある作品だった。