FutosiSaito

落下の解剖学のFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.8
 サンドラ・ヒュラーは、不思議なコメディー『ありがとうトニ・エルドマン』でのイメージがあったので、今作のシリアスな演技に驚いた。幅が広い、すごい女優だ。
 裁判劇でもありサスペンスでもある内容だが、クリエイター同士の夫婦という問題も抱えていて、深みがある。
 また、視覚障害のある息子、裁判での最後の表情がなんとも巧い。
 そして、犬。瞳が小さいので愛くるしい目ではないのだが、演技派だった。
 裁判により、さらされていく事実も辛いものが多く、勝敗が全てではないところもヨーロッパ映画らしくてよかった。残された者が、これからも抱えていかなければならない現実をふまえ、単純なラストにしていないところだ。
 場面が自宅と裁判所が舞台と限られているし、裁判シーンが長いのだが、見ごたえのある作品だった。
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