ヒットのおかげで大作に取り組めることになったので、好き勝手にやらせてもらったという。それがこんな怪作というところが面白い。この監督が体裁のいいものを撮るはずがない。
弱気で謝ってばかりの主人公が、次々と災難に遭い、周囲もそれに巻き込まれていく。その繰り返し。さえないおっさんが、ひたすらひどい目に遭う。
「ボーは恐れている」ので、同じ出来事でも悪く解釈して怖がってしまう。その怖がり目線の、怖がり脳の世界が存分に描かれている。そのワンダーランドだ。
監督自身も心配性らしく、朝起きてからもう不安になるという。
そして、親ガチャ。愛情より、束縛。思いやりより、怒らせたくないという心配。ネガティブな要素を、これまた詰め込んである。
「アリ・アスター好き」芸人、こがけんのインタビューが実にわかりやすい。監督の性格や、意図をうまく聞き出しており参考になった。