とことんリアルな西部劇というと、『キラー・オブ・ザ・フラワームーン』のようなものが挙がるが、これはとことん地味で、ゆえにリアルな映画だ。
貨幣の流通もままならず、街というよりバラックの集合体ができ始めているような地域が舞台で、調理人と中国移民の二人が出会い……という設定も渋い。
ドラマティックなことはずーっと起きず、ささやかな生活が描かれる。
ネイティブアメリカンも登場するが、彼らの言葉には字幕もつかない。
派手な音楽もなく、何よりも画面が暗い。観客に説明しようという媚もない。
それなのに、飽きないし、しみじみ感動する。
観た人どうしで語るほど、語る要素が出てくる映画。
スタンダードサイズも、いいなあ。