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ザ・ホエールのkyのレビュー・感想・評価

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.3
生きる意味について切り離された現代において、最も過酷な環境に囚われていた偉い人が言いました。"愛されているだけで生きる意味がある"って。

でもその人は付け加えて、そもそも生きる意味なんか問うものじゃなくて人生に問われるものだと。じゃ、愛されてるだけでもとか言うな。そして、Z世代の自分は、え。その愛されてるだけっていう理屈いくら熾烈な状況に置かれたでありはする人が言ったのは説得力あるんやろうけど、並の人間に対して言っとんなら本質が愛って脆弱過ぎん?そこまで生ぬるく生きてきたつもりはないなんかモヤモヤするなー。って思ってた。そんな時に観る映画にはピッタリでした。

監督がその偉い人の言葉に付け加えた答えが"愛されていることと、愛していること。この表裏一体の一つが生きる意味になる"ってことだと感じました。

またその愛とか漠然とした言葉を使ったけど、この映画は懺悔とか慈愛とか渇望とか色んな心の形が表されているし、愛の形も父と娘、夫婦、同性愛、家族愛、兄妹愛とか色々絡み合ってたなぁ。あの密室で。

奇遇にも監督のダーレン・アロノフスキーはロシア系ユダヤ人の家系。
きっとイメージの片隅には強制収容所がチラついてる。

人間の尊厳についての考え方は人それぞれ違うということを表した描写も興味深かった。娘エリーは自分の足で歩くことを人間の尊厳として考えていたのかな。チャーリーはチャーリーで神の救済も求めることをしないこと、死を持って人間の尊厳と考えてたのかな。リズは自己犠牲。トーマスは死亡フラグ。

基本、一つの部屋だけで繰り広げられる展開の中でもチャーリー演じるブレンダン・フレイザーの強烈なビジュアル、本物の演技、とまあブレンダンの今までの人生🥲と、テーマが心に内在する物だけだからってのもあって登場人物の心情が言葉だけで説得力ある物語、脚本になってて単純に釘付けになる構図って計算なのかな?笑物の使い方とかもめっちゃ上手。不思議とあの巨漢なチャーリーの動作で憂いに満ちた苦しみと償いたいけど、償えないことをしたってことが伝わってくるんよなぁー。

エリーのSNSも内面とは違うティーンの自己表現の在り方。

俺も家族が神よりも、バイボーよりも信じれるなぁ。笑

でもラストの白鯨のブリーチングの演出は雑いし、A24の悪いところが出てるぞ。笑の4.3です。笑

後絶対トーマス死んだ。
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