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13回の新月のある年にのkyのレビュー・感想・評価

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
5.0
人間も、屠殺される牛みたいに、自由なんてない只々孤独に死を待つ居場所に置かれたなら、何の秩序も乱さず純粋な生を全うできるんだよな。

でも人間にはある程度、ってか理性的な思考から得た。そして、そもそもの存在が持ってして在る自由を獲得している。それは精神的な意味で。

でも人間のその自由は放埓過ぎる。弱者を痛めつける。それが秩序を乱すか、法を犯すかは、これまた理屈を捏ねて築き上げた奔放なる人間の匙加減。
罪なき罪、形なき罪、名も無い罪、なんていうんやろう?そんなものしか無いこんな世界には😡🤬って、怒れる人はいいんです。エルヴィラのように弱いから淘汰された者は粉々になった心の部位を洗って拾い上げて、価値にしたかったんだよな。(精肉と掛けたかったけど決まらなかった)

今の自分は人生を決定論的観点からしか見れない。一つ一つの瞬間が緻密に組み込まれた物だとしか思えない。あくまで運命っていうレベルの言葉じゃなくて。デターミニズムなんて言ったら偉そうですけど。現実を偶然性というフィルターを通して日々生きとる気がする。そんな馬鹿な考え方は、この映画の精密な作りと作品って言う概念を超えて、やっぱりそうなの?って思ってしまった。古い本の一節より、あの日あの時あの人の言葉とか。それがタイミングよく嵌まればいい。でもこの人生というものの造りはそんなシンプルではない。ある人の言葉を借りれば、生きるという事はたいへんな事だ。あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が噴き出す。まさにそうだとこの映画を観て思いました。登場人物全員が同じく人生を生きてます。

とりあえずここまでで。また観ると思うってか人生ベスト4には入る映画。
もう撮り方とかセリフや構成も好み。

太陰年?よくわからないけど、彼/彼女。満月/新月とかかってるのかな。
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